ひまし油由来の基礎原料
ひまし油誘導体は、ひまし油を種々の化学反応を活用することで得られる生成物です。その特徴的な構造から油剤工業、化粧品工業の原料や医薬品、ポリエステル樹脂、印刷インキなど幅広い用途に利用されています。
ヒマシ硬化油はひまし油の水素添加物で、白色の固くて脆い融点約85℃のワックスです。
主な特徴
特徴
ヒマシ硬化油は天然ゴム、合成ゴム、ポリエチレン、植物性ワックスなどとの相溶性があります。
熱に対しても比較的安定であり、また他のワックスにブレンドすることにより耐溶剤性、耐グリース性、硬度、および融点を向上させることができます。
主な用途
・化粧品
・グリース
ヒマシ油脂肪酸(CO-FA)はひまし油をケン化分解して得られる脂肪酸で、凝固点約5℃の淡黄色液体です。
主な特徴
特徴
CO-FAの構成脂肪酸は、リシノレイン酸が約90%を占めています。
残りの脂肪酸は、オレイン酸(2.5~4%)、リノール酸(3.5~5%)、パルチミン酸(0.5~1.5%)、ステアリン酸(0.5~1.5%)、およびジヒドロキシステアリン酸(0.5~1.5%)などを含有しています。
CO-FA S は色相を改善したタイプです。
主な用途
・塗料用樹脂
・金属加工油
・食品添加物
12-ヒドロキシステアリン酸はヒマシ硬化油をケン化分解して得られる、融点約75℃のワックス状のヒドロキシ脂肪酸です。
主な特徴
特徴
ほとんどの温有機溶剤に溶解します。非極性溶剤の温溶液を冷却すると、弱いゲルを形成します。
主な用途
・化粧品工業および油剤工業などの原料
・グリース
・油の凝固剤
脱水ヒマシ油は不乾性油であるひまし油を、化学反応により乾性油に変性したものです。
主な特徴
脱水ヒマシ油(DCO) 特徴
あまに油よりも速乾性であり、塗膜は非黄変性、耐密着性、耐化学薬品性、耐水性、可撓性、硬度、および光沢などいずれも優れています。
重合脱水ヒマシ油(Z-3) 特徴
脱水ヒマシ油(DCO)を熱重合により粘度を高めたもので、桐油と比較して、ワニスクッキングの際に、ゲル化の懸念がはるかに少なく、またコールドカットも可能であり、ワニス製造管理が非常に容易です。
主な用途
・印刷インキ
・ワニス
・速乾エナメル
脱水ヒマシ油脂肪酸(DCO-FA)はDCOをケン化分解して得られる脂肪酸の蒸留精製品です。
主な特徴
特徴
脂肪酸のほとんどが、オクタデカジエン酸であり、共役ジエン酸は約35%を占めています。
エポキシエステル樹脂、スチレン化アルキド樹脂、アクリル樹脂などの変性原料として用いられます。
主な用途
・淡色焼付合成樹脂塗料
・印刷ワニス
セバシン酸はひまし油を苛性アルカリによる開裂反応で得られる炭素数10の直鎖飽和二塩基酸です。
主な特徴
特徴
ジオクチルセバケート(DOS)として、可塑剤、グリース、潤滑油、および作動油に用いられます。
主な用途
・6,10ナイロン
・アルキド樹脂
・ポリエステル樹脂
・防錆剤